仏塔に隠された秘密
本日のネタ本です。
そもそも仏塔とは、主に釈尊の舎利や、聖者の舎利を納めたいわば骨壺です。
秘密その①
ストゥーパの原語 インドの最古の聖典『リグ・ヴェーダ』には、樹木の冠、火炎の冠、天地をつなぐ軸柱、黄金のかたまりなどの意味があるそうです。
なかでも、火炎の冠とは、燃え盛る火のかたまりを指し、ブッダが火炎の柱でシンボライズされている遺跡もあります。
この遺跡がいつごろの制作か不明ですが、書籍にあるアマラーヴァティーの仏教遺跡が最古のものとすれば、紀元前2、3世紀にさかのぼるサータヴァーハナ朝のものかもしれません。
このレリーフは中央の護摩壇にもみえなくはない仏塔が火炎で表されているものです。つまり本書いわく、ブッダが火炎の柱として崇拝されていたということです。
秘密その②
バラモンの聖火檀と仏塔の類似点
第一 再生と復活、宇宙生成のシンボリズムが認められる。
聖火檀は、創造神プラジャーパティの身体を元通りに復活させ、不死の状態にさせることを目的とし、祭主が不死となることが願われる。
仏舎利は生命、種子とみなされ、舎利供養というかたちで再生、復活している。そして、不死、涅槃の獲得が願われる。
第二 聖火檀のなかには、金の装飾品、黄金の人間、生きた亀、人や馬などの頭が納められる。または、代用の粘土細工でもよいことになっている。
仏塔のなかにも、金製の人間、動物の粘土細工などが出土している。
第三 仏塔を構成する部分の名前が聖火檀、犠牲祭と密接に関係している。
仏塔の中心柱はユーパとよばれ、聖火檀では、生贄の動物をゆわえる役目とされる。
その名称がそのまま仏塔にも使われているのである。
仏塔の基壇はメーディーとなずけられる、これは犠牲を意味するメーダということばから由来するという。聖火檀におさめられる亀もメーダとよばれる。などなど。。。
秘密その③
本書によれば、多くの点で仏塔がバラモン文化の影響を受けながら生成したであろうことが想定されるという。しかし、仏教はもちろん殺生を禁止したので、バラモン側の用語を採用しながら、換骨奪胎したのである。
こうした換骨奪胎は仏教では、釈尊のころから行われていました。
代表的なのが三つの明知の獲得ということです。バラモン世界では、三つの明知といえば、三つのヴェーダ、すなわち『リグ・ヴェーダ』、『サーマ・ヴェーダ』、『ヤジュル・ヴェーダ』の三聖典のことである。これをブッダは、『宿命通、天眼通、漏尽通』としました。
仏教は、当時のインドの宗教というより、文化そのものであったバラモンの教えを頭から否定せずに、ある時は肯定し、ある時は、換骨奪胎したのです。
それが仏塔の制作時にも活かされていったということです。
結論
そもそも仏塔は、ブッダをまつる、仏教流のご聖火檀だった。