阿含経を旅して

阿含の教えに学ぶ

ブッダの瞑想法を成就させる絶対条件

ブッダの瞑想を成就するための、絶対条件とは、神霊の加護と導きです。

ヨーガスートラにも、自在神への祈念によって三昧が得られる。自在神は太古のグルたちにとってもグルである。とあるように、神霊の導きによって瞑想が成就することを説きます。

仏陀もまた、パーリ聖典阿含経で、繁栄や幸福のためには、神霊の加護が必要なことを説いています。

「聖賢 の 生れ なる 人 が 住居 を かまえる 地方 において、 そこで、 有徳 に し て 自ら 制 せる 清浄 行者たち を 供養 し た なら ば、 そこ に いる 神霊 たち はかれ ら に 施与( の 功徳) を ふり 向ける で あろ う。 かれ ら( = 神霊) は 供養 さ れ た なら ば、 またかれ を 供養 し、 崇敬 さ れ た なら ば、 また かれ を 崇敬 する。 かく て、 かれを愛護する こと、 あたかも 母 が わが子 を愛護 する よう な もの で ある。 神霊 の 冥々 の 加護 を 受け て いる 人 は、 つねに 幸運を 見る。」ブッダ最後の旅 中村元

仏陀の瞑想法は、六道のマトリックスから自由になるという因縁解脱を目指すのですが、その六道世界のなかにあって、因縁解脱の修行を成就するためには、神霊の冥々の 加護が必要だと説くのです。

その とき 遍歴 の 行者 サビヤ に、 昔 の 血縁 者 で ある が( 今 は 神 と なっ て いる) 一人 の 神 が 質問 を 発し た、「 サビヤ よ。〈 道 の 人〉 で あろ う とも、 バラモン で あろ う とも、 汝 が 質問 し た とき に 明確 に 答える こと の できる 人 が いる なら ば、 汝 は その 人 の もと で 清らか な 行い を 修め なさい」中村 元. ブッダのことば-スッタニパータ (岩波文庫) (p.152)

サビヤという行者は、おそらく彼の守護霊となった祖霊から導きをうけ、遍歴ののち、ブッダに出会い、ついに阿羅漢になります。

つぎの経典では、大仙人バーヴァリが遊行のバラモンにたいして、施しができなかったことを逆恨みされ、呪いをかけられて、懊悩していると、神霊が指導にあらわれます。

九 八 三  「 わたくし が 乞う て いる のに、 あなた が 施し て くださら ない なら ば、 いま から 七日 の 後 に、 あなた の 頭 は 七つ に 裂け て しまえ。」

九 八 四   詐り を もうけ た( その バラモン) は、( 呪詛 の) 作法 を し て、 恐ろしい こと を 告げ た。 かれ の その( 呪詛 の) ことば を 聞い て、 バーヴァリ は

苦しみ 悩ん だ。

九 八 五   かれ は 憂い の 矢 に 中 てら れ て、 食物 も とら ない で、 うちしおれ た。 もはや、 心 が この よう な 気持 では、 心 は 瞑想 を 楽しま なかっ た。

九 八 六   バーヴァリ が 恐れ おののき 苦しみ 悩ん で いる のを 見 て、( 庵室 を 護る) 女神 は、 かれ の ため を 思っ て、 かれ の もと に 近づい て、 次 の よう に 語っ た。

九 八 七  「 かれ は 頭 の こと を 知っ て い ませ ん。 かれ は 財 を 欲し がっ て いる 詐欺 者 なの です。 頭 の こと も、 頭 の 落ちる こと も、 かれ は 知っ ては い ない の です。」

九 八八  「 では、 貴女 は 知っ て おら れる の でしょ う。 お尋ね し ます が、 頭 の こと も、 頭 の 落ちる こと をも、 わたくし に 話し て ください。 われ ら は 貴女 の お ことば を 聞き たい の です。」

中村 元. ブッダのことば-スッタニパータ (岩波文庫) (p.307)

バーヴァリは年老いた仙人でしたが、神霊の導きによって、門弟16人にブッダを訪ね、彼の教えを聞くことを命じます。16人は神霊が告げた町で仏陀の教えを受けてその場で帰仏し、帰還するとすぐにバーヴァリにブッダの教えを再演し、バーヴァリもまた、その場で不還果という聖者の位を得ました。

瞑想の初心者は瞑想のメソッドに気を取られ、肝心の部分が抜け落ちやすいです。大仙人バーヴァリですら、瞑想成就のためには、神霊の導きが必要でした。神霊の導きがなかったら、かれの懊悩は消えず、瞑想は成就しなかったでしょう。

瞑想法を成就させるのは、メソッドではなく、神霊の加護です。これまで、瞑想とは大脳の開発に他ならないと主張してきましたが、大脳のような複雑な機構をもった組織を神霊の加護なくして自力で改変、または増幅など、不可能といってもよいとおもいます。大脳は、物質界、精神界、霊界に通じており、それぞれの世界にバランスよくアクセスすることが必須です。しかし、霊界に通じる大脳、すなわち間脳にアクセスするためには、霊的世界に通じたブッダの導きと神霊の導きが必要不可欠であることを経典は説いているのであります。

阿含宗開祖もまた、つぎのように説いています。『龍神が翔ぶ』のなかで

「ほんとうの超能力は、最高の守護霊・守護神をもったときに発揮される。その守護霊・守護神の霊徳がそのほとの徳となり、その神力がそのひとの能力となるからである。」

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龍神が翔ぶ』は、人が人という因縁の枠を超えるために、守護神、守護霊をもつことを勧め、その持ち方を分かりやすく、明瞭に解説した名著です。御一読をおすすめいたします。