阿含経を旅して

阿含の教えに学ぶ

阿含経と密教

阿含宗阿含経を依経としながら、密教の様式で阿含経を実践しています。

これは、以前ご紹介したとおり、密教の様式は仏舎利を供養するための形式として最高の形式であるから採用しているということです。

仏教には成仏法と供養法があります。

成仏法は七科三十七道品であり、梵行と瞑想、縁起観などから構成される純然たる修行法であります。一方、ブッダや神々にたいして祈る儀式は、供養法として発展していきました。

阿含宗開祖 桐山靖雄大僧正猊下はその著、座右宝鑑のなかで以下のように述べられています。

 

仏教の法には、成仏法と供養法の、二種の法があることを知らねばならない。
供養法とは、仏や菩薩をまつって御供養し、御加護を祈る法である。
真言密教は、祈鷹仏教とも呼ばれる。中世、皇室や貴族から、さまざまな祈橋を
依頼された。上は国家鎮護から、官位の昇進、競争相手の呪詛、病気平癒、等々、
限りがなかった。 法験をあらわせば莫大な恩賞や昇進を受けて世にときめき、効験
なければ、門前、雀羅を張って人足が絶える。みな競って、法に工夫を凝らし、念
をこめた。そのために、供養法という祈禱の法が完成したのである。

その中でも、如意宝珠法は傑作で、最高の供養法と思われる。だからこそ、密教
大辞典にいうように、最極深秘の法、とされているのである。
しかし、阿含宗の如意宝珠法が、特にすぐれた法験をあらわし、奇蹟を生むのは、
本尊が、仏陀釈尊の「御聖物」である真正仏舎利だからである。法がいくらすぐれ
ていても、本尊が本物の御聖物でなければ、それだけの効果は期待できない。
私はこの法を、小田慈舟大僧正猊下から御伝授いただいた。

 

当時、ブッダが祭式について述べられた記述はわずかですが、以前にもご紹介させていただいたとおり、ブッダが祭式として最も優れていると挙げたのが、護摩法要でありました。

ブッダ在世当時から、バラモンクシャトリヤ階級の人々は、ブッダに帰依したのちも、ブッダへの供養として護摩法要をしていたのであります。

ですから、阿含宗密教の様式を採用したのは、ごく自然な流れでありましょう。

もっとも、当時、出家が中心であった釈迦仏教は、袈裟と托鉢用の鉢しか所有が認められなかったので、護摩法要はもっぱら在家信者の仕事だったといえましょう。

阿含宗は在家中心の仏教でありますから、供養法といえば護摩法要なのであります。